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「主人公は僕だった」 2006年 アメリカ

世界の映画 映画の世界
第37回
「主人公は僕だった」
2006年 アメリカ 113分
<監督>マーク・フォースター

主人公のハロルド・クリックは、国税庁の会計検査官。頭の中は数字と計算でいっぱいであり、12年間毎日同じことを繰り返す単調な日々を送っている。ところがある時から、彼の耳に女性のナレーションのような声が聞こえてくるようになった。その声は彼に向かって話すのではなく、彼について、しかも彼自身よりも豊かな表現で話す。ある日その声が、「このささいな行為が死を招こうとは、彼は知るよしもなかった」と語るのを聞いて、ハロルドはびっくり仰天する。他のすべての言葉が彼の行動に一致していただけに、その言葉通りになるかもしれないと思ったのだ。
彼は必死になってその声の主を探し出そうとする。そして偶然見たテレビ番組から、その声の主が有名な女流作家であることをついに突き止めて、面会にまでこぎつける。作家のほうも、自分の小説の登場人物が実在することにびっくりする。彼女が考えていた結末は、ある少年を救うために、ハロルドが命を投げ出すというものであった。
ハロルドは当初何とかその筋書きを変えて欲しいと願うのだが、彼女の草稿を読んで感動し、これ以外の筋書きはないとして、自分の運命を受け入れていくのである。

この映画は、コメディー・タッチであり、聖書と関係がないようであるが、ラインハルツ著『ハリウッド映画と聖書』によれば、主人公のハロルドは、ある意味で「キリスト的人物」である。イエス・キリストは、十字架の前夜、「父よ、この杯をわたしから取りのけてください」と祈りつつ、静かに自分の定めを受け入れていった。さてこの物語の結末はどうなるのだろう。ちなみに聖書のほうは、十字架の死が終わりではないことを、私たちは知っている。

主人公は僕だった - 作品 - Yahoo!映画

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